政治の話2009/09/01 14:23

 今回の衆院議員選挙は民主党の圧勝でしたが、良くも悪くも主役は自民党だった印象があります。前回のブログ 2007/09/27 にも書きましたが「自民党政権を引きずり降ろしたのがこの総選挙の結果であって、民主党が積極的に支持されたわけでもないというのが現実だろう。」と。高速道路無料化案、子育て支援政策、農業支援政策等、支持よりも不支持の方が多いのがその理由です。

 では自民党の何が嫌われたか?というと、ひと言で言えば、「新自由主義的改革への不満」でしょう。自民党、官僚も完全には政策を把握できなかったようです。たとえば「小さな政府」。要は地方に権限を委譲して地方の自己責任で政治を行わないといけないのに、中央省庁が相変わらず口を出すので地方には不満が溜まる一方です。社会保障や雇用政策に至っては「小さな政府」の名の下に経費節減、社会保障の抑制を推し進めた結果、それらがセーフティ・ネットの部分にも食い込んでしまいました。それらにより「社会的な混乱を招く結果」になりました。思うに経済を最優先にしすぎた結果ですね。結果としてバブル後の不況は克服されました。でもその反動も大きかった。景気回復と生活向上感が一致しなかったのも、この辺が原因です。僕もちょっと考えを変えています。「改革には痛みを伴う」のではなく「改革には劇薬の副作用が伴う」と。まあ、この辺の評価は後世の歴史家に任せましょう。

 今からの政策(国内)ですが支持団体を見ると大体想像出来るのではと…。自民党の主な支持団体は日本経済団体連合会(日本経団連)、日本商工会議所(日商)、経済同友会などで、どれも経済第一にあげている団体です。それに対して民主党の支持団体は連合、自治労、自動車総連等、早い話、労組です。最低賃金の見直し、労働者派遣法の見直し等、労働者向けの政策が多く、どれもが企業経営と密接な関係がある為、経済成長は後回しの政策になるものと思われます。

 さて民主党政権になって何が一番不安か?というと、外交、防衛、危機管理、通商(経済政策)がどのようになるか?です。前回のブログにも書いていますが、国政の第一の仕事は外交、防衛、危機管理、通商(経済政策)と考えるのですが、この部分、民主党の考えと全然違うので正直民主党の支持にはなれないです。外交は鳩山さんの話から想像すると「頭を下げるだけの外交」になりそうで、その部分についてはメチャクチャ抵抗があります。「日本人として誇りある行動」をしてほしいと思いますが、支持母体に日教組がいるのでこの部分は無理でしょうね。

過去の歴史から2009/09/02 21:22

 前回のブログで「政治の話」を書いたのですが、かつて自民党がやってきた政治を見てくると、これが結構面白い。僕も以前から不思議に思っていたのですが「なるほど」思う内容でした。今回の衆院議員選挙で自民党が敗退するまで一党独裁だったので、自民党の歴史が日本の政治の歴史だったと言えます。

 間違いはあるかもしれませんが昭和30年代からを要約するとこんな感じです。

 30年代の自民党の基本方針は「保守本流」。で、この頃の総理大臣は池田、佐藤、田中、三木、福田、大平、鈴木…などになります。そんな中、色々な意味で問題になっている「利権」を生み出したのは田中角栄だろうと思います。「列島改造計画」を推進し、新幹線、高速道路などの国土基盤を整備し、大企業主導の経済体制のもと一億総中流を実現、同時に社会保障も充実させました。経済も成長し国民生活も向上した時代だったので、誰も不満は無かったのでしょう。結果だけをみればこの時代の政策は間違ってなかっただろうと。でも継続したことは間違いだったと。その後、経済成長が鈍化してきたのにも関わらず、赤字国債を発行し続けた為、財政赤字が表面化してきました。政治家から「財政再建」という言葉をよく聞きました。

 で、中曽根内閣のもとで推し進めていったのが「新保守主義」。「小さな政府」って言われるようになったのはこの時?。国鉄、電電公社、専売公社の民営化などの政策が取られました。竹下内閣では、長年の懸案であった大型間接税消費税を導入を実現。「直間比率の見直し」を実現しました。でも、このあたりから政治不信も同時進行で広がります。リクルート事件はこの頃発覚しました。土井社会党が参院選挙で勝って「山は動いた」と言ったのもこの頃です。

 時代は平成、バブル崩壊、失われた10年の時代です。経済構造の変化により公共投資も友好的な政策にならず、財政赤字も拡大、政官財の癒着、公共事業における談合、腐敗が明らかになり、国民の政治不信は頂点に達しました。また最大派閥竹下派による「数の支配」は厳しい批判の対象となり、とくに竹下、金丸、小沢一郎の三者の蜜月による経世会支配は、党内においても反発を呼び、その結果、保守本流の流れを汲む2派閥は、政治改革をめぐって小沢一郎らが離脱、離党しました。

 2000年になってからはあまりにもごたごたが多いのと、最近なので知っているだろうという事で省略…。

 ちょっと無理があったかもですが、大体こんな感じです。

 前回のブログで民主党の外交・防衛・経済政策に不安があると述べましたが、逆に言うと国内政策についてはあまり代わり映えがしないと思える所以はこの部分にあるのです。保守本流の時代の社会福祉政策は当時の社会党の案とほぼ同じで、国会提出時期に差があるだけなんですね。すなわち時代としては「自民党による保守本流」→「自民党による新保守(新自由主義)」→「民主党による???」最後はまだよく判りませんが政策を見ていると自民党が保守時代に行った社会政策に近い気がします。辞書で調べると自由主義とも社会自由主義とも言われているようです。

 書いていて気がついたのですが、小沢一郎(田中角栄の秘蔵っ子)の歴史でもあるんですね。小沢一郎は今でも政治のイニシアティブを握っていることが凄い。今回の政変で、この部分をどう取るかで評価は変わってくるでしょう。僕は金丸、小沢一郎の三者の蜜月による経世会支配のイメージが強いので小沢一郎が支配する民主党のイメージは悪いです。

 実は小沢一郎の著著『日本改造計画』を僕はもってるんですね~。印象的なのが「直間比率(消費税率)の見直し」「海外派兵」で、防衛庁の省への昇格はこの本の中に記述されています。又、数の論理にも触れていて、「過半数が賛成している案を、少数のダダっ子がいて、その子をなだめるために、いいなりになってすべてを変えてしまう」のは「少数者の横暴」だと述べています。当時の社会党の反対を納める為に法案を骨抜きにされたのでは意味がないという意だと思います。この辺が賛同出来るのが僕には辛いです。

自民党の功罪と将来2009/09/05 23:22

 自民党の功罪は「総理大臣」を軽くしてしまった事だと思います。これはマスコミにも原因はあると思いますが、自民党議員が公然と総理大臣を批判するのはおかしいです。そんなに批判するなら総理大臣に選ばなければいいわけで、曲がりなりにも総理大臣として選んだ以上、総理大臣をサポートするのは自民党議員として当たり前です。これはマスコミにも言えることです。総理の選び方、選ばれ方をTVで話題にしているのを見かけますが、それに問題があるのならば法律を変えるしかない。少なくと歴代総理大臣で法律に違反して総理大臣になった人はいない。

 マスコミについては言いたいことが沢山りますが、とにかく言動には細心の注意を払って頂きたいです。ここ数年のマスコミの言動は「政権交代」に結びつける言動に溢れていました。マスコミの思うことを「空気」と言う国民総意の意見と表現し、それに反対する人を「空気が読めない」と決めつけています。とにかくマスコミには中立な報道を心がけてほしいです。

 自民党の将来は、ちょっと難しいだろうな~。どう考えてもネガティブな要素しかないです。今は総裁指名選挙でもめているようですが、この辺もネガティブに報道されています。国会議員も勝手なら、各県の県連も勝手です。4日は党本部で全国幹事長会議を開いたようですが、各県の意見を見ると批判ばかりで党を再生する為の具体的な案を何も言わない…。これでは何を決めても批判しか無いのでは…。まあ、マスコミが流す情報なので批判意見しか流してないのではと思いますが。8日の両院議員総会はさらに混乱するでしょうね。

 今回の選挙で若手議員が落選したのは痛手です。民主党はよほどの失政をしないかぎり4年~8年は政権につくでしょう。それに世界的な経済の回復は、当面ありそうにありません。と言うことで、いつまでも70歳前後の長老の意見が党を左右する姿に国民の支持を得るのは難しいです。今の若者はこの手のシチエーションを凄く嫌いますから…。やるべきことは若返りです。十年後を見据えて、若い人材を集める必要があります。従って現在70歳代の方と4年後は四捨五入したら70歳代になる方は、いくら当選したとはいえ、後身に身を譲るべきです。後身に身を譲る事は有権者には好印象で受け入れられるでしょう。またこれを機に金権体質も改め、議員が自前で政策を立案し、官僚頼りから脱することも必要です。

 民主党と自民党が、国会や委員会で、堂々と論戦をはるところを見たいです。日本の政治に対する信頼回復は、そんなところから始まると思います。

民主党2009/09/06 23:21

 TV番組で盛んにマニフェストの実現を公言しています。でも国民が民主党に望んでいるのは違う所にあるのでしないでしょうか?。国民は政策を選択したのではなく政権を選択したのですから。

 今回の選挙で国民が支持したのは「官僚主導の政治をやめる」と、「財源の無駄を無くす」だと思います。両方とも実施するとなると相当の荒療治で、ある意味「副作用」が怖い気がしますが、この点は注目しています。

 副作用を具体的に書くと、前者は本当に100人程度の政治家だけで全部の予算の確認が出来るのか?、霞ヶ関の真面目に仕事をする人のやる気をそがないか?。後者は無駄を無くした後に大量の倒産、失業者が発生しないか?、となります。つまり「無駄な予算」が廻ってきて運営されている企業の普通の社員は失業するの???って事です。

 とにもかくにも実験的な要素を多く含んでいる部分に不安を感じます。しかしTVなどで拝見する民主党若手議員の政治にかける意気込みには情熱を感じます。今から先、色々と困難を迎えても挫折することなく、その情熱を忘れずに仕事に邁進して頂きたいと思います。

人材派遣2009/09/07 22:20

 グローバル。日本語でいうと「世界的な」って意味になるのかな。派遣労働者が問題になっていますが、時代の流れの部分もあると思うのです。自民党や大手企業を悪者の様に書きたてていますが、企業サイドからグローバルを考えると必然でもあったように思います。

 グローバル化と品質管理(生産技術も含む)には密接な関係があります。日本の産業はその品質と共に発展してきました。品質向上と品質維持の過程を知るとグローバルで行った事も理解出来ます。

 トヨタ自動車などが言うグローバル化とは「全世界何処で作っても国内で作った自動車と同じ品質を保証する車を作る」と言うことです。国内で生産した車を輸出する時代は品質を作るのは工員の仕事でした。しかし貿易赤字が膨らんでくるとアメリカは自国で生産するように要求してきました。ここで問題になったのが「品質を誰が作るのか」になったのだと思います。アメリカ人と日本人は考え方が違うので日本人工員そのままの作業をアメリカ人工員に要求するのは無理な話です。そこで考え出したのが「出来上がりの品質を保証した生産ラインを作る事」だったのだと思います。

 僕が勤めている会社は生産装置、検査装置などを製造する会社です。入社以来色々なシステムを製作してきましたが、それらは一貫して「人減らしの為のシステム」だったような気がします。「コンピュータの導入→自動化→人員削減」ですもんね。そんな中、自動車産業に携わったのですが、この産業からの要求レベルは凄く高いです。これは当たり前の話で、自動車が世界レベルなので要求されるレベルも世界レベルなんですね。精度などについては非常に高度なものを要求されます。そしてそれらの装置でできあがった部品の不良率は0.1%以下…。品質に工員が介在する時代は変わっていきました。工員の仕事は品質ではなく稼働率、生産効率にシフトしています。少なくともこの分野では熟練工は必要なくなりました。そして稼働を見守る最少人数の工員で工場は稼働出来るようになりました。現在は最終検査(目視等)に人員が割かれているようです。

 企業サイドからしてみれば、熟練工を必要としない、品質も確保できるシステムを作ったら、熟練工を必要としない(パートでもこなせる安い賃金の)労働でまかなえるシステムに行き着いたものが「グローバル化」だったのでは、と思います。企業が雇用する人員が減っていったのはこのような背景があったものと思われます。

 しかし完全自動化システムは設備コストが高いのが問題でした。それは簡単に増産体制を作れないという問題を抱えていました。企業サイドが作ったのは安価で出来る半自動ラインだったのです。半自動なので人間のサポートが必要です。でもサポートを必要とする部分は部品の搬入/搬出、工程間の移動など品質に関係ない部分でした。そこで登場するのが派遣労働者です。従って派遣社員には技術力の要求も無く、単にロボットの様に働く事が要求される人材が求められました。企業から見れば高い人件費を払う必要のない人でまかなえたのでした。派遣労働者のスキルがあがらない(上げる必要が無い)のもこの辺が原因と思います。

 人材派遣は1980年代に始まって派遣業種の拡大を経て今の状態になっています。当初は秘書などが主だったと聞いています。僕の業界(ソフトウエア産業)は比較的早くから解禁されていましたが、僕としてはデメリットしか感じませんでした。その時、感じたデメリットは、
 ・スキルの無い人材を派遣された時はスキルアップするまでの期間は受け入れ企業がスキルアップさせる必要がある。スキルの高い人材は当然賃金が高い。
 ・スキルアップさせた人材を派遣会社が突然引き上げ、延長に際して高額の契約金を要求してくる。
 ・仕事に対する責任感の違いがあるので、完全には派遣労働者に任せられない。
  ※嫌になった時など、管理会社に言えば派遣先を変えてもらえるようです。
などです。これらに該当しない事務系の仕事ではメリットの方が多いと思いきやそうでもないようで、責任感の違いから仕事の1から10を聞いてくるので指示が大変と聞いています。

 人材派遣については大反対です。これについては現在の問題が出る前から大反対でした。最悪な世界が簡単に想像出来たもんね。英会話などのディベートでこの話題になった時、大反対を掲げ、派遣会社に勤めている女性から大ひんしゅくを買ったこともあります。メリットよりもデメリットの方が想像するに安易なこの法律は作るべきでは無かったと今でも思っています。